島根県吉賀町が31日、町内唯一の救急告示病院・六日市病院について、2024年4月の公設民営化後、新病院建設までの暫定措置として、現在経営する社会医療法人「石州会」から建物と土地を取得して運営を続ける方針を町議会全員協議会で示した。
建物、土地とも借り受ける想定だったが、交渉の中で法人側が難色を示し、資産評価額に基づき当初4億円としていた建物の譲渡額を「0円」と提示してきたため、歩み寄った形。ただ、老朽化が進む鉄筋コンクリート5階建ての建物は、近い将来、約6億円の解体費がのしかかる。土地についても法人側は有償での買い取りを要望しており、金額などの協議を続ける。
町は、今月4日の全協で、建設用地や施設規模は未定としつつ、新病院の建設方針を初めて示し、現在の建物と土地については、今後6年の試算で計16億7200万円に上る、建物の解体、資産の購入、医療機器更新などの財政負担の大きさを勘案し、有償譲渡は受けないと説明。
この日の全協では新病院完成までの間、建物などを借り受ける場合の費用や、リースに難色を示す法人側との交渉で早期妥結は困難な状況などを踏まえ、一転して譲渡を受ける方針を示した。全協後の取材に対し、岩本一巳町長は「病院を残すために町の財政が破綻してはいけない。最善策をとらなければならない」と話した。(藤本ちあき)