■短歌 宮里 勝子選

満満と水を湛へる早苗田の田毎に月を映す夕闇         雲 南 落合 溥之

 【評】早苗田になるまでの工程は早春の田起こしから始まり、さまざまな作業を経てようやく田植えが始まる。白米になるまでの苦労は自然が相手で毎年違って当たり前。下二句の捉え方に作者特有の感性が光る。

ちちははがただ黙々と野焼(くよし)する匂ひほのかにリモートワーク    出 雲 木佐 優士

 【評】デジタルとアナログが隣り合わせにある風景。父母は刈り取った草を燃やして自然に還す。若者は電子機器を使...