熱心に作品を鑑賞する来場者=松江市袖師町、島根県立美術館
熱心に作品を鑑賞する来場者=松江市袖師町、島根県立美術館

 住友家当主が集めた絵画の企画展「住友コレクション名品選-フランスと日本近代洋画」(山陰中央新報社、島根県立美術館など主催)が8日、松江市袖師町の島根県立美術館で始まった。モネやローランスのほか、浅井忠、鹿子木孟郎、藤島武二、岸田劉生らの名品がそろい、西洋絵画と日本近代洋画を比べて楽しめる。11月6日まで。

 コレクションは希代の数寄者として知られる15代当主・吉左衞門友純(ともいと)(号・春翠(しゅんすい)、1864~1926年)が収集を始めた。展示85点のうち、印象派の創始者の一人モネの作品で、1897年にパリで購入された「サン=シメオン農場の道」「モンソー公園」は、ともに日本で最初期にもたらされた記念碑的な存在とされ、今回の目玉の一つ。

 ローランスの「マルソー将軍の遺体の前のオーストリアの参謀たち」は「赤」の布が敷かれたベッドで横たわる将軍と、その前で頭を下げるオーストリアのカール大公が描かれ、大公の衣服に赤の補色「緑」を使った色の対照が目を引く。

 ローランスに学んだ鹿子木孟郎の作品を近くに並べるほか、日仏の作品を比較できるエリア「フランスと日本 美の対決」もある。

 モネを含め展示品の多くを所蔵する泉屋博古館(せんおくはくこかん)東京の野地耕一郎館長は「これだけの名品をまとまって見られる機会は少ない。日本の巨匠たちに影響を与えた画法とともにじっくり見てほしい」と話した。9日午後2時から記念講演を行う。

 企画展観覧料(常設展セット)は当日券一般1300円、大学生千円、小中高校生400円。火曜休館。

       (井上雅子)