ガソリン価格が高騰する昨今の状況を見るにつけ「ガソリン国会」といわれた2008年の通常国会を思い出す▼この年の8月、東京のレギュラーガソリンの小売価格が、現在とほぼ同水準の1リットル当たり180円台を記録。国会会期中の1~6月はそこまで上がっていなかったものの、200円時代の到来を覚悟した▼当時は、参院で民主党を中心とした野党が多数派を握る「ねじれ国会」。ガソリン価格のうち道路整備のために上乗せされていた税金分(1リットル当たり約25円)を廃止させたい野党側の主張が通り、4月ごろの1カ月だけ、値段が下がった。道路財源を確保したい与党側が衆院で3分の2以上の議席を持つ立場を生かして状況を覆した。政局絡みの価格の乱高下に複雑な思いをした記憶がある▼今秋の臨時国会も、ガソリン国会の再来となるか。国民民主党など野党の一部が、ガソリン価格の高騰が続いた場合に税金上乗せを一時停止する「トリガー条項」の適用を主張している。今は与党側の意向で、東日本大震災からの復興費用の確保を名目に「凍結」されている。凍結解除には法改正が必要だ▼15年前と違って、衆参ともに多数を占める与党は野党から法案が出ても、否決すればよいだけの話だ。だが、価格高騰の収束が見えない今回は、補助金継続よりも大本の減税が有効との見方もある。政局を抜きにした持続可能な結論を導きたい。(万)