太平洋側の暖かい海域に生息するナンヨウカイワリが島根県隠岐の島町で釣れた。地球温暖化により日本海へやってきた、いわゆる「南方系」とされ、隠岐諸島では個体数が少ないとみられる。熱帯魚のように長いヒレがあり、あまりおいしくなさそうに見えるが、実際は・・・。
本来は豊かなサンゴ礁がすみかになるというナンヨウカイワリ。取材を進めると実は隠岐諸島でも時々釣れることがあるといい、晩夏から秋口がシーズンという説もある。知夫村の釣り人によると、20年前からフカセ釣りに単発で釣れることがあったといい、隠岐の島町では「ヒラアジ」と呼ぶ人もいた。島根県内では島根半島、浜田市内の沖波止、益田市の高島でも釣果の実績がある。

今回釣り上げたのは30センチほど。薄く細かいうろこを落とし、3枚におろすと簡単に皮がはげた。とりあえずぶつ切りで刺身にしてみたが、脂がのって美味。アジの刺身のようにとろけるような感覚で、しょうゆによく合った。「南方系」の魚は実態が分からずリリースする釣り人も多いが、ナンヨウカイワリは釣り上げる際のやりとりで引きも強く、味も美味なので、むしろ次も釣れてほしいと思った。
実釣リポート

今回の釣行は9月2日午後、隠岐の島町の都万漁港を出港した。当初は大森島の南にある小さな岩礁の舟島を目指した。渡船の出港後、あいにく土砂降りになった。暑さで釣り人がいないと読んでいた舟島にはすでに人影があり、大森島へ回ることに。大森島は隠岐諸島の中では比較的大きい無人島で一級磯として知られるが、こちらは誰もいなかった。そこで一番潮通しのいい「北の鼻」に上がった。

夕方まで速い南潮。マダイやヒラマサを狙った底カゴ釣りには20センチ台後半のグレがポツポツ釣れる程度だった。すでに青物の当たりが一発あってもおかしくない時期だが、終始気配はなかった。
今回は出雲市の渡部幸太郎さんが同行した。底物師の渡部さんはサバを...