「おっぱいは 生んだら出ると 思ってた」。母親が赤ちゃんを世話して感じた戸惑いやパートナーへの不満など、産後の「あるある」をつづった川柳を、雲南市在住の助産師ら30~40代の女性7人でつくる団体がカレンダーにまとめた。今まさに育児をしている人だけでなく、子育てを終えた祖父母世代などからも、幅広い共感を呼んでいる。(山口春絵)
特に初産婦は出産がゴールになりがちで、産後の生活にまで想像を巡らせるのは難しく、「こんなはずではなかった」と落ち込むことは珍しくないという。そこで、子育て支援に取り組む「mama’s smile(ママズスマイル) はぐ」は、妊娠中から経験談に触れて自分事に捉え、産後に備えてもらおうと企画した。
タイトルの「産後こうなりまんねんカレンダー」は毎年繰り返し使える「万年カレンダー」にちなんだ。掲載する川柳は昨秋、交流サイト(SNS)で募集。市内外から約20件の投稿があった。不足分は育児中のメンバーが書き足し、31日までの日付や愛らしいイラストと共に「あるある」を毎日楽しめる。
「聞いてない 赤ちゃん寝ないと 聞いてない」には睡眠の悩みが描かれる。補足のコラムでは、新生児期はほとんど寝ていると育児書に書いてあっても「寝なくて大変だった」という母親は多いとつづり、「寝ないパターンも想定して」と呼びかける。
核家族化が進み、夫婦の協力が求められていても、育児の負担はまだまだ母親に偏りがち。「子ども寝ず 夫は寝てるぞ 我先に」とチクリと指摘したり、寄り添う姿勢を求めたりと、パートナーに伝えたい思いも寄せられた。
赤ちゃんの世話は絶え間なく続き、一人で育てているような孤独感や責任の重さを訴える作品もあった。母親のつらさを思い、サポートの重要性を再認識した家族もいたという。
団体はこのほど、啓発に役立ててもらおうと、カレンダーと産前産後の心身の不調に関するアンケート結果をまとめた冊子「雲南版産後白書」の各200冊を雲南市立病院に寄贈した。妊婦健診受診者や産後で入院している人に配られる。いずれもインスタグラムから購入できるほか、冊子は市と島根県奥出雲町の窓口やスーパーなどでも手に取れる。
助産師で2児の母でもある高木奈美代表(46)は「カレンダーをきっかけに、家庭や職場で子育ての現状を知ってもらい、みんなで育児を支える地域になればうれしい」と話した。購入と問い合わせはママズスマイルはぐのインスタグラムsanzensangokea_hagu