隠岐と本土を結ぶ隠岐汽船の利用客向けに、本土側で米子方面への接続バスを運行する日ノ丸自動車(鳥取市古海)が、運転手不足を理由に来年1月5日で取りやめることが10日、分かった。米子空港(境港市佐斐神町)を経由するルートで、隠岐4町村の住民や観光客に利用されており、新型コロナウイルス禍の影響で減少していたバス利用のニーズも回復しつつあるだけに、利便性の低下が懸念される。(吉川真人、鎌田剛)
同社米子支店などによると、廃止対象は、七類港(松江市美保関町七類)や境港(境港市大正町)の高速船、フェリーの発着時間に合わせて運行するJR米子駅-七類港、米子駅-境港駅の両区間。1便当たり10人前後が利用し、路線維持のため隠岐町村会が年間250万円を助成してきた。
しかし支店の運転手定員47人に対し、4人の欠員や長期の病欠者が出ているなど人員不足となっている。
米子市を中心に走らせる37系統(平日280便、土、日曜220便)の路線バスは、コロナ禍の影響による高速バス減便の継続、貸し切りバスの受注制限によって回っている状況だという。
小笹登支店長は「通勤などで利用される公共交通としての路線バスの重要な役割を踏まえ、これを維持することを第一と考えた」と話した。既に、国土交通省中国運輸局に廃止を届け出た。
廃止後の来年1月6日からは、境港駅を経由する米子駅-七類港のうち、境港駅-七類港間は、貸し切りバス事業の「はつみ交通」(松江市八束町二子)が引き継ぐ。
一方、米子空港を経由する境港駅-米子駅は、既存の路線バスか、JR境線などを利用することになる。
隠岐汽船の接続バスはこのほか、一畑バスが松江駅-七類港、松江駅-境港駅で運行している。