訓練で、放置車両をフォークリフトで移動する作業員ら=米子市旗ケ崎、米子港
訓練で、放置車両をフォークリフトで移動する作業員ら=米子市旗ケ崎、米子港

 中国電力島根原発(松江市鹿島町片句)の事故を想定した5日の広域避難訓練では、米子市旗ケ崎の米子港で放置車両の撤去訓練があった。昨年11月の訓練で先導するパトカーが動かなくなり、後続の避難バスが立ち往生したトラブルがあっただけに、参加者は一刻を争う避難時の経路確保の重要性と手順を再確認した。

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 鳥取県や県西部建設業協会、一般社団法人日本自動車連盟(JAF)鳥取支部の関係者20人が参加。原発事故後、県道上に車両が放置され運転手が近くにいないという想定で実施した。

 災害対策基本法に基づく撤去に関する手順を確認し、担当者がバックホーやフォークリフトを操作して放置車両を移動。バックホーはつり上げる器具の設置に人手が必要で、フォークリフトで移動させるよりも対応人数がいることなどを確かめた。県道路企画課の米田憲司課長は「マニュアルや法律上の位置付けは書類では見ているが、実際目にして動きを確認することは有効だ。継続することがいざという時に生きてくる」と話した。

 昨年11月の訓練では境港市誠道町の旧誠道小学校で、避難バスを先導するパトカーが立ち往生し、校舎脇の通路をふさいだ。乗車していた境港署員が車内に鍵を残して降車し、自動ロックされたのが原因。移動用器具を装着し人力で動かしたものの、訓練全体で1時間20分の遅れが出た。

 災害対策基本法では、原発事故などの発生時、緊急車両の通行の妨げとなる車両の運転者に対して移動を命令でき、運転者が不在の場合は道路管理者が車両を移動させることが可能。

  (古瀬弘治)