


全47都道府県のうち、職員に対して就業中に新型コロナウイルス感染防止を理由に、一律でマスク着用を求めているのは島根県のみであることが山陰中央新報社の調べで分かった。国の基準緩和や5類移行を機に46都道府県で「脱マスク」が進む中、島根県は来庁者の感染リスク軽減などを理由に継続する考えだ。(取材班)
職員のマスク着用を巡っては、国が3月に「個人の主体的な選択を尊重し、個人の判断を基本とする」との基準を示し、5類に移行した5月8日までに山形、栃木など24道府県が原則、着用を個人の判断に委ねた。大阪府企画厚生課の担当者は「国に準じて対応している」と説明する。
個人の判断に委ねつつ、一部で着用を推奨、継続する都県もある。国の「重症化リスクの高い人が多く、入院や生活する医療機関や高齢者施設への訪問の際は着用を推奨する」との基準に沿って窓口業務や施設訪問時に、鳥取や福岡など9県が着用の措置を取り、東京や福井など13都県が推奨する。
鳥取県人事企画課の山根淳一課長補佐は、県内の感染が第8波時の昨年12月~今年1月に1日千人を超えたのに対して99人(10月23~29日)に減っていることから、感染リスクの高い来庁者に配慮し続けるとした上で「県民の新型コロナに対する意識も変わっている。緩和に向けた見直しも検討したい」と話した。
島根県は一律で着用を求める理由について、高齢者など重症化リスクの高い来庁者の感染リスクの軽減▽職場内での感染拡大防止▽庁内での感染拡大による県民サービスの低下を避けるため-と説明。県人事課の北尾真吾課長補佐は「県民に寄り添った対応を考えるとまだ外すことはできない。着用が県民の安心にもつながるのではないか」ととの見解を示した。