マスクを着けて業務に当たる松江市職員=同市末次町、市役所
マスクを着けて業務に当たる松江市職員=同市末次町、市役所

 新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行して1カ月が経過する中、山陰両県12市の市役所では依然として職員がマスクを着用する光景が続いている。職場での着脱を個人判断とした自治体もあるものの、来庁者への配慮や感染拡大を懸念する声が根強く、市民の目があり、思い切った脱マスクとはならないようだ。

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 着用の在り方を巡っては、政府が「個人の主体的な選択を尊重し、個人の判断を基本とする」との考えを示し、両県12市とも来庁する市民には着用を求めない方針で一致。職員の着用は、浜田、大田、江津、雲南の4市がコロナ禍と同様に「原則着用」とし、松江、鳥取、米子、境港の4市は全職場で着脱を「個人判断」に委ね、残りの出雲、益田、安来、倉吉の4市は市民との接触時に限って着用を求めている。

 組織としての対応にかかわらず、実際に現場でマスクを外す職員は少ない。松江市ではほとんどが着用を継続。窓口で市民に対応する女性職員は「感染拡大の起点になるのは避けたいし、市民からの印象もある」と話し、人事課の加納克浩課長は「コロナがなくなったわけではないという懸念がいまだに根強い」と分析する。

 窓口対応の職員を除いて個人判断を基本とする倉吉市でも9割は着用。同様の方針の安来市では窓口対応ではない職員が外していたところ「未着用の職員がいる」と市民から苦情があった。益田市では執務室内でのデスクワーク中に限って一時的に外す職員が数名いる程度で、人事課の小田川拓史課長は「市職員が職務中に外すようになるのは、しばらく時間がかかりそうだ」と話した。

 島根県は原則着用の対応を続け、鳥取県は来庁者と接する場合を除いて個人判断に委ねている。(佐々木一全)