子どもが小さい頃、よく絵本の読み聞かせをした。『三びきのやぎのがらがらどん』と『スイミー』は今でもおぼろげながら覚えている▼「がらがらどん」は小、中、大3匹のヤギが草を食べに行くため、妖怪トロルが住む谷に架かる橋を渡る筋書き。ヤギの大きさに合わせて声を変えて読むと、子どもが喜んだ記憶がある▼海で暮らす小さな黒い魚「スイミー」の話は大人にも教訓的だった。仲間の赤い魚が大きなマグロに食べられ、海を旅するうちに岩陰で暮らす仲間そっくりの赤い小魚を見つける。一緒に泳ごうと誘っても大きな魚を怖がって出てこない。そこでみんなで群れをつくり、大きな魚のふりをして泳ぐことを提案。体が黒い自分は目玉になることにする▼「スイミー」の姿に、森友学園問題を巡る財務省の公文書改ざんに悩み自ら命を絶った、当時の近畿財務局職員・赤木俊夫さんが重なる。「大きな魚」に対抗するように手記を残したが、色の違う魚を置き去りにして、群れは一斉に逆方向に泳いで行ってしまった。官僚という人間の群れは「異端者」を受け付けないのだろうか▼「スイミー」の話はハッピーエンドだったが、現実の人間社会では絵本のようにはいきそうにない。しかし、そんな結末を子どもたちに見せたままでいいのかと思う。この3月で赤木さんの死から3年、森友学園の元理事長の証人喚問から4年になる。(己)