神紅を使った「出雲神紅とクルミのリュスティック」を手にする倉益孝行店長=出雲市斐川町出西、ル・コションドール出西
神紅を使った「出雲神紅とクルミのリュスティック」を手にする倉益孝行店長=出雲市斐川町出西、ル・コションドール出西

 出雲市斐川町出西のベーカリー「ル・コションドール出西」は、島根県オリジナルのブドウ品種、神紅(しんく)を加工したブドウパンの販売を始めた。JAしまね(松江市殿町)から色づきが不十分だったものを購入。皮ごと食べられる特性を生かし、ドライフルーツにしてパンの中にまるごと入れ、観光客などへの浸透を狙う。

 ル・コションドールは出西窯の隣接地に、2018年オープン。出西ビレッジ(多々納真社長)が運営し、地元食材を使った商品開発に取り組み、これまでにシャインマスカット、多伎いちじく、西浜いもなど出雲市産の農産物を使ったパンを販売してきた。

 神紅を使った新商品もその一環。JAを通じて色づきなどが不十分のため生果で販売できないものが、加工用に回っていることを知り、新たに専用の乾燥機を購入して商品化した。

 神紅の高い糖度と香りを生かすため、レーズンのように完全乾燥はさせず、水分が半分程度になるまでにとどめた。ブドウ特有のみずみずしさを残し、生地は北海道産小麦と塩のみを使用。手ごねで作り、神紅とクルミを入れ、小麦本来のうま味とともに味わってもらえるようにした。

 「出雲神紅とクルミのリュスティック」の商品名で1個360円(税別)。週末限定で販売する。出西窯を訪れた観光客の利用も多く、倉益孝行店長は「パンを通して神紅の知名度を高め、ファンを増やしたい」と話した。

(佐野卓矢)