第五章 飛ぶ鳥(九)

「お頭(かしら)」

 重兵衛は湯呑みから唇を剥がし、やっと寅蔵と目を合わせた。

「佳(よ)い品があれば持って参れ。お前にそう言った。それはしかと憶...