討ち入りそばを50年間提供し、感謝状と花束を受け取る田中コヅエさん(手前中央)と伸哉さん(右)=大田市川合町、眺峰園
討ち入りそばを50年間提供し、感謝状と花束を受け取る田中コヅエさん(手前中央)と伸哉さん(右)=大田市川合町、眺峰園

 大田市大田町の飲食店「平和亭」が、同市川合町の特別養護老人ホーム・眺峰園で毎年末に討ち入りそばを提供し、11日に50回目を迎えた。長年、店を切り盛りしてきた田中コヅエさん(85)が「地域への恩返し」で始めたのがきっかけで、今年も長男・伸哉社長(54)とともに施設を訪問し、利用者に80食を振る舞った。

 田中さんは20歳の時に平和亭で働き始め、1971年に当時のオーナーから経営を引き継いだ。そばの提供は50年前の眺峰園開園から始まり、施設の年末の風物詩として定着。当初から「50年は続けたい」と言っていたといい、5年前に店を伸哉さんに任せるようになった後も、そばの日だけは毎年訪問してきた。

 11日は伸哉社長が打った自家製そばを持参。利用者の状況に合わせ通常より柔らかめにゆでて、温かいつゆにネギとノリを合わせた。かつての客も利用者におり、懐かしみながら、誰もが「おいしい」と舌鼓を打った。

 田中さんは、50回の節目を迎えて、眺峰園の持田朱美園長(59)から感謝状を受け取り、利用者と世間話で盛り上がった。「過ぎてみるとあっという間だった」と振り返り、来年以降も元気な限り続けることを誓った。
(勝部浩文)