接種前の問診に当たる安田勲さん=島根県飯南町頓原、町保健福祉センター
接種前の問診に当たる安田勲さん=島根県飯南町頓原、町保健福祉センター
住民にワクチンを接種する三原愛子さん=島根県飯南町野萱、町来島拠点複合施設
住民にワクチンを接種する三原愛子さん=島根県飯南町野萱、町来島拠点複合施設
ワクチン接種前の問診にあたる和田勝祥さん=島根県飯南町野萱、町来島拠点複合施設
ワクチン接種前の問診にあたる和田勝祥さん=島根県飯南町野萱、町来島拠点複合施設
接種前の問診に当たる安田勲さん=島根県飯南町頓原、町保健福祉センター
住民にワクチンを接種する三原愛子さん=島根県飯南町野萱、町来島拠点複合施設
ワクチン接種前の問診にあたる和田勝祥さん=島根県飯南町野萱、町来島拠点複合施設

 島根県飯南町で、いったん第一線から退いた医師や看護師たち7人が新型コロナウイルスのワクチン接種に一役買っている。人手不足の状況や町の呼び掛けに「こんな時だからこそ」と呼応した。人口5千人足らずの小さい町だけに7人は住民とは顔なじみ。緊張しがちな接種現場で住民の安心感にもつながり、和やかな空気をもたらしている。(清山遼太)

 7人は医師2人と看護師5人。医師は5月、看護師は4月から高齢者の集団接種会場に入り、医師2人は現役世代とともに問診を担当。看護師5人は自分たちだけで接種を担当し、現場を支えている。同町の高齢者のワクチン接種率は11日現在、1回目が61・9%、2回目が20・8%。

 助っ人の医師・安田勲さん(71)は、2015年春に町立飯南病院の院長を退いた後も人間ドックや予防接種に携わってきた。医療現場の人手不足に対し「引退して時間に余裕のできた経験者が手伝えれば良い」が若い頃から持論。これまで約2千人の患者と接した自負があり「今後も医療現場の手助けをしていきたい」と意を新たにする。

 13年まで同病院に勤めた看護師・三原愛子さん(66)も「自分たちの行動が少しでも町の手助けになり、感染拡大防止に役立てばうれしい」と話す。

 接種を受ける住民に副反応への不安もある中、顔なじみの医師や看護師は、心強い存在となっている。

 医師の和田勝祥さん(79)は、19年に体調を崩して退くまで同町赤名で内科医を開業していた。40年以上、地域医療を支えて顔が広く、接種現場で、かかりつけだった患者との再会はしばしば。問診中の会話に花が咲き、周囲のスタッフにやんわりとたしなめられることもあるほどだ。

 久々に立つ現場の空気は自らの活力にもつながっており「町民と現場で出会うことで生きる気力をもらっている。可能な範囲で続けていきたい」と前を向く。

 年配の助っ人たちに対し、町保健福祉課の小玉千恵課長は「大変助かっている。皆さんが来てから、明るい話し声も聞こえるようになった。顔も広い上に医療経験が豊富で、安心して任せられる」と感謝する。