「これまで多くの北斎展を観(み)たが、今回の様な内容のものは初めて」「新鮮な驚きと発見がある北斎展」「北斎のイメージが覆(くつがえ)された」-これらは今年の2月から3月、島根県立美術館で開催した展覧会「永田コレクションの全貌公開〈一章〉北斎-「春朗(しゅんろう)期」・「宗理(そうり)期」編」でのアンケートに書かれた感想である。
数え90歳まで生きた北斎の、20歳から45歳頃までに焦点を当てた本展には、「天才」「風景画家」といったステレオタイプな北斎像とは異なる、若き日の北斎の研鑽(けんさん)、模索、挑戦の様子をうかがわせる作品が並んだ。冒頭...