昨年12月30日に死去した八代亜紀さんの代表曲「雨の慕情」や「舟唄」は、聴き手の記憶を掘り起こし、胸の奥にしまった悲しみや、遠く離れた故郷を思い出させた。心に染み入る歌声は、天賦の才と現場で培った表現力のなせる業だった。

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 父親の浪曲を子守歌代わりに聞いて育ち、歌手を目指して熊本から上京した。ジャズから流行歌までリクエストに何でも応えなくてはならなかった銀座のナイトクラブ時代が「原点」となった。...