今季一番の寒気に伴う25日までの大雪で、体制を見直した松江市内の除雪に一定の効果がみられた。2023年1月下旬の大雪で除雪が追いつかなかった教訓を踏まえ、県などが今季から出動基準を見直し、道路を舗装し作業しやすい環境を整えた。除雪業者からはスムーズな作業につながったと評価の声が上がった。
「昨年は昼を過ぎていたが、午前10時半には除雪車が来てくれた」。松江市東長江町の市道沿いに住む南波寛子さん(79)は驚きの声を上げた。

23年1月28日は市内で午後5時に38センチの積雪を観測。除雪が追いつかずに交通網が混乱し、圧雪で車両の走行が難しくなる路面の凹凸が発生した。
24年1月25日は午後5時時点の最深積雪は28センチ。23年とは降雪の時間帯や雪質、量が異なるため単純比較はできないが、市民からは「対応が変わった」との声が上がる。
23年の教訓を受け、県や松江市は今季、除雪車の出動基準を見直した。従来「積雪15センチ」を基準に業者に出動を依頼し、15センチ未満の場合は事業者の判断に委ねていたが、23年12月からは早期着手できるよう基準を「5~10センチ」に改めた。

今回、基準の見直しが生きた。県道路維持課によると、24日は10~15センチの積雪が予想されたため、新たな基準に照らし、大雪注意報段階の同日午後7時に市内を担当する事業者全7社に一斉に出動依頼をかけた。同課の大野利博課長は、23年は業者で出動時期にばらつきがあったとし「通勤時間に間に合わなかった箇所もあったが、教訓を生かせた」と振り返った。
県道松江木次線など橋南エリアを担うまるなか建設(松江市玉湯町布志名)の営業開発本部工事開発室の田渕雅也課長は「雪が少ないうちに雪をかければ凹凸ができにくい。官民で連携が密になったのも大きい」と成果を口にする。
今季、県は除雪後に凹凸ができる原因となる道路の段差解消にも着手し、支障のある市内77カ所のうち60カ所で工事が完了した。松江土建(同市学園南2丁目)の新田浩二土木部次長は、路面に段差があれば除雪車のブレードが引っかかって事故につながる可能性に触れ「スムーズにいった」と効果を感じ取った。
一方、生活道路では除雪が行き届かない場所もあり、市には25日、市民から複数の意見が寄せられた。市道路課の常盤貴之係長は「優先順位の高い箇所から除雪している。市民の意見を踏まえ、安心安全な道路をつくりたい」と話した。
(曽田元気、原暁、森みずき)