地域交通の運転手不足が表面化する中、全国の自治体で自動運転技術の活用を探る動きが本格化している。山陰両県では、先駆的に自動運転カートを導入した島根県飯南町が利用低迷に苦戦する一方、鳥取市は1月から市街地での実証実験を始め、可能性を探る。既存の公共交通から、人工知能(AI)の活用やデマンド交通への切り替えで利便性を高める動きも活発になっている。 

 (政経部・白築昂、鳥取総局報道部・福間崇広)
 

先駆けの飯南、利用低迷


 2021年度に中国地方で初めて自動運転カートを導入した島根県飯南町は岐路に立つ。既存の路線バスやデマンド交通に代わる移動手段としての利用が伸びず、町は廃止も選択肢に24年度以降の運行体制を見直す考えだ。県内で他に導入する市町村はなく、発展途上の自動運転を地域交通に組み込むハードルはまだ高い。

 「なくなって困ることはない」。11日夜、カートが走る同町赤名地区内の意見交換会で住民から厳しい声が相次いだ。...