大田市のアナゴブームが続いている。2019年に始めた市内の漁業、商工関係者によるブランド化の取り組みは、昨年末、地域活性化の好例を表彰する政府の「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」のグランプリに選ばれた。ただ、市の産業全体に与えるインパクトは発展途上だ。「日本一」といわれる素材を生かし、現在で年間8億円の経済効果を引き上げる「次の一手」を探った。
(大田支局・勝部浩文)

 

「映え」人気集める


 1月6日、新年最初に店を開いた飲食店「海の店ささき」(五十猛町)は、25席の店内がすぐに満席になった。アナゴを1匹丸ごと使ったあなご天丼(大・1700円)。味とともに、30センチのあなご天をタワーのように立てた「映え」が人気を集める。

人気を集めるあなご天丼=大田市五十猛町、海の店ささき


 大田商工会議所などの勧めで20年に初めてメニュー化したところ、交流サイト(SNS)を中心に口コミが拡散。全国放送の旅番組にも取り上げられ、休日には山陽、関西地方などの県外ナンバーの車で埋まる。

 アナゴといえば、中国地方では瀬戸内の食材といわれていた。店内では...