―昨年は畜産業界にとってどんな1年でしたか。

飼料価格の高騰が響きました。

穀物は昨年豊作でしたが、パナマ運河が水位低下で船が通れず、大回りするルートになり、船荷の代金が高くなって、飼料価格が5割近くも上昇し酪農の廃業も国内で相次ぎました。

業界全体でしばらくは体力勝負が続きそうです。わが社は益田市や浜田市、山口県萩市の拠点で肥育や酪農、繁殖を一貫して手掛け、強みとなっています。 

 

―昨年、国内最大規模の全国肉用牛枝肉共励会で、出品牛が最高位の名誉賞を2年連続受賞されました。

全国32道府県から和牛、交雑牛500頭が出品されました。

全国の肉用牛肥育農家が枝肉の仕上がりを競い合う国内最大規模の共励会で、専門家が審査し、品質を競うイベントで受賞したのは栄誉なことです。

特に今年は、買い付けしていない自家産の牛が受賞したので喜びもひとしおでした。 

 

―生産年齢の減少に伴う福利厚生策は。

わが社はかねて通勤農業を実施しています。若い社員は益田市や浜田市にアパートを借りて住み、呼び出しは一切ありません。

労働条件を一般企業に近づけるよう取り組んでおり、完全週休2日制の達成まであと少しのところに迫っています。 
 

 

―益田商工会議所の会頭として地場経済活性化への思いは。

萩・石見空港の利用促進に力を入れており、インバウンド、アウトバウンドの両面から市とともに対策を進める考えです。

経済交流の交流協定書を締結している川崎商工会議所(神奈川県)との連携強化にも引き続き取り組み、益田市や浜田市の中学生が修学旅行で川崎市の企業を訪問する動きは新型コロナウイルス禍で中断しましたが再開しています。

コロナ対策として中小企業などを対象に実施された実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」の返済が4月以降本格化します。

商工会議所としては資金繰りの相談に応じるなど倒産防止につなげたいと考えています。

 

 

生命誕生から出産、哺育、育成、肥育と大きく成長し美味しい牛肉となって消費者に食べていただく生命総合産業です。

動物が好きで自然の中でのびのび仕事がしたい協調性のある人を求めています。必要な資格は入社して会社で取ってもらいます。

 

 

松永和平=島根県益田市出身(69歳)1984年現職に就任。

浜田商業高校を卒業後、大阪の銀行につとめるが都会になじめず3ヶ月で地方に帰り、松永牧場を設立、昨年50周年を迎えた。毎年東京で開催される全国枝肉共励会において2年連続4度目の名誉賞を受賞。

(株)松永牧場HP