―主力製品「月光ドリル」の売上げが順調ですね。

切れ味や穴を開ける部材への食い付きが良く、切削時の摩擦抵抗が少ないのが特徴です。製造業から航空機、医療分野まで幅広い分野で活躍しています。先端部の三日月状の切れ込みを持たせた形状は特許を取得しています。世界に一つしかない技術を有する製品ですので、広告宣伝を活用してさらに独自性を多くの方に訴求し、ブランド化も押し進めたいです。

―5月には工業用ドリルの完全内製化を始めます。

昨今の円安や、不安定な世界情勢や災害などは、商品の納期に大きく影響する可能性があります。しかしこうした外部の動きは、自社ではコントロールできません。原材料から加工する完全内製化によって、製造工程について可能な限り自社のペースで進めたいという考えから、決断しました。社員が新たな技術を身に付けるので、企業の成長にもつながると信じています。



販路拡大にも意欲的です。

6月ごろに九州と関東に営業所新設を計画しています。各拠点に営業所があれば出張の労力を省けますし、地域に根ざした営業を展開できます。一層密接なサービスで、お客さまに安心感を持って商品を使っていただけるようになると思っています。ゆくゆくは、大阪府や愛知県にも営業所を開きたいと考えています。また、コロナ禍も収束する傾向なので、海外展開を本格的に再開します。米国やドイツ、タイ、中国の展示会に自社製品を出展する予定です。この1年は投資の年であり、充実の年になると思います。
 

 

―人材育成について考えを聞かせてください。

わが社にとって開発力は心臓部です。そのために各セクションの一人一人が豊かな知識と技術を身に付けられるよう、多様な情報が入る社内環境の構築が欠かせません。また社員の働きやすさを向上させると同時に、仕事への熱い思いを醸成できるルールも作りたいと考えています。組織づくりは人づくりです。

 

社会人になればお金を稼ぐために家族がどれだけ頑張ってくれたのか分かるはずです。今まで支えてくれた人への感謝を忘れないこと。これまで育ってきたのは自分1人の実力ではなく、親や友人、学校の先生など多くの支えがあったからであることを忘れず、夢を持って努力を続けてください。
 

 

新井義一=鳥取県日吉津村日吉津出身(46歳)。1995年に入社。2022年8月から現職。

週末は長女と買い物に出かけたり、カフェ巡りをしたりして楽しんでいます。

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