―2024年4月の改正労働基準法の適用で、社員の時間外労働時間に制限がかかります。どう対応していきますか。

 23年は、島根県内の学校、病院や東京都内のマンション建設など好調でした。

 24年は、時間外労働時間の制限を踏まえ、工期について受注先との調整が必要です。

 19年4月に取り入れた出退勤のデジタル管理システム、24年1月に始めた工程進ちょく状況把握のデジタル化など、省力化と業務効率改善、社員の負担軽減につながるデジタルトランスフォーメーション(DX)や、情報通信技術(ICT)の導入などを進めていきます。

―現場での人手不足は深刻です。

 人手不足の解消は、当面の間は難しいと見ています。優秀な人材の確保は進めますが、選ばれる会社を目指し、社員教育に力を入れます。

 各現場からデジタル化できる作業の提案を受け、社員の働き方を効率化することで時間を生み出していきたいです。

 従来から進めている資格取得支援、会社に在籍しながら専門的な技術を学ぶことができる学校へ通うことも推進します。



力を入れている事業分野は何ですか。

 橋りょうやトンネルといった老朽インフラの増加が社会問題となる中で、維持修繕や長寿命化を図るのは建設業界の使命だと考えており、重点的に取り組みます。

 新しい分野では、ナーシングホーム(医療やみとりのサービスがある施設)の受注を目指します。

 セミナーなどを通じて需要を掘り起こしたいです。
 

 

―22年秋に江津商工会議所会頭に就任して1年がたちました。

 島根県西部「石見国」全体を活性化させるのが大切です。

 本社を置く江津市には、江津地域拠点工業団地(江津市松川町)があり雇用の場は多いですが、隣接市町からの働き手がいなければ人材不足になります。

 各市町の経済団体が強みと弱みを相互理解し、補い合う関係を構築したいと思っています。

 そうして人口減少が著しい石見国全体の底上げを図りたいと思います。

 

 東京一極集中が進んでいますが、地方には東京と異なる文化や歴史、食、人の挑戦があり、自分に合った土地や目指すべき人の存在が見つかるはずです。

 江津市では起業家を多く輩出したビジネスプランコンテストが開催され、若い人の挑戦を後押しする土壌があります。

 学生時代のうちに地方に足を運ぶ機会を持ってほしいです。
 

 

   今井 久師=島根県江津市出身(60歳)。2003年4月に代表取締役就任。

 還暦を機に中古のオートバイを購入し、主に江の川沿いを走行しています。

 2024年4月、私と弟の常務と2人で出資し、会社敷地内に「今井二輪神社」を設けます。

 自然は四季折々の顔を見せ、走りを楽しむには絶好の場所で、バイクや自転車の愛好者が気軽に立ち寄れる場所にし、石見路散策の魅力発信につながればと期待します。

今井産業(株)HP