―新型コロナの5類移行に伴い、観光・宿泊業界に復調の動きが出ています。

コロナ禍に備え、実行してきたことが成果として出始めたと実感しています。この3年間苦しいこともありましたが、従来の当たり前を見直して新しいことを始める好機だったと捉えています。

中でも急速に進めたデジタルトランスフォーメーション(DX)化は、お客様の利便性向上に加え、業務の省力化による新たなサービス創出につながりました。

―スタッフの働き方にも変化があったそうですね。

例えば、ホテルスタッフの3交代勤務を2交代に近い状態にしました。

時間帯別の必要人数や業務内容を分析すると、入れ替わりのタイミングで無駄な待機時間や業務が発生していることが判明し、省くようにしました。

小さなことに思えますが、このシフト改革で収益の改善や一元化した接客の効果が出ました。

―就任後の10年間でV字回復を遂げて高利益体質になり、特に変わったと感じることは。

スタッフからの新規事業の企画提案や資格取得のためのインセンティブ制度の導入、都会地の展示会や研修会に多くの社員を参加させるなど、人に投資できるようになったことです。余裕が生まれたからこその変化です。

社員にはインプットや挑戦する機会を与え、より楽しく密度の高い仕事で力を発揮してもらうことを期待しています。

 

―新たな展開はありますか。

山陰道の延伸により、江津市で運営する神楽の里舞乃市への集客増を見込み、リニューアル工事を2024年末から予定しています。飲食店やガソリンスタンドの機能は残しつつ、テイクアウトにも力を入れます。

また、地域課題である人口減少に取り組む場としてコミュニティーを構築するような拠点化を目指します。

特産品を活用した商品を開発し、海外を視野に入れた輸出産業に参入する構想も描いています。多種の部門を展開することで採用など雇用創出につなげ、地域に必要とされる企業であり続けたいと思います。

 

 

成功の対義語は失敗ではなく、何もしないことです。失敗を恐れずチャレンしてほしいと思います。

「前例がない」と反対する頭の固い大人がいるかもしれませんが、反対されること、失敗から得たことにこそ成功が潜んでいます。挑戦して、失敗して、成長してほしいです。

それが実現できる会社であり続けるよう、私もチャレンジを続けます。

 

 

 

 

植田裕一=60歳 島根県江津市出身、2013年より現職。

50歳を過ぎて父親になり、5歳と7歳の姉妹の子育てに翻弄されながらも楽しい日々を過ごしています。

元々仕事人間でしたが、子育てを経験して仕事への認識は変化しました。すべて自分で把握していないと気が済まなかったのが、周囲に任せるようになりました。

昨日できなかったことが今日はできるようになっている娘の姿に刺激を受け、日々成長するよう取り組んでいます。

浅利観光㈱HP