個性的な母牛たちを紹介した「週刊お母さん」を出版した村上朋恵さん=島根県隠岐の島町郡
個性的な母牛たちを紹介した「週刊お母さん」を出版した村上朋恵さん=島根県隠岐の島町郡

 島根県隠岐の島町五箇地区で畜産に携わる女性が、愛情込めて育てる母牛たちの写真とエピソードをつづった書籍を出版した。飼料代の高騰や子牛の価格下落など業界は厳しい環境下にあるが「楽しみながら、牛を知ってほしい」と話す。

 隠岐の島町郡の村上建設の畜産部門で働く村上朋恵さん(42)が、「週刊お母さん」と題して出版しA5判28ページ、1030円。

 5年前から子牛の繁殖事業に取り組み、2020年1月に交流サイト(SNS)「インスタグラム」で、牛たちの日々の様子を写真や動画で投稿してきた。出荷される子牛に目が向きがちで、長く世話をしてきた母牛が懸命に生きているのに注目されないのを残念がり、書籍の出版を思い立った。

 自身も3人の子を育てる母親として「牛と人間の子育てが重なる部分がある」と感じ、母牛たちの個性を言葉で表現したい気持ちに駆られた。牛たちは大自然での放牧と牛舎を組み合わせたストレスの少ない環境で飼育されているのが特徴で、「面白い飼い方をしているなと注目してほしい」と考えてもいた。

 関西圏の出版関係者2人からアドバイスを受け、母牛のプロフィルや性格、エピソードを紹介する「週刊お母さん」を昨年12月からインスタで発信するようになり、ネット書籍大手「アマゾン」で、注文が入ると印刷するオンデマンド方式で3月に書籍の販売を始めた。

 村上さんは「県外の人からの反応があり、名刺代わりになって喜んでもらえる。隠岐の1次産業を活性化したい」とインスタでの発信と書籍の続編に意欲を見せる。(鎌田剛)