JR西日本の特急やくもの新型車両273系が6日、デビューした。クリーム色を基調とした381系から、鮮やかなブロンズ色に一新。デザイン監修を務めた建築士事務所「イチバンセン」(東京都)の川西康之代表取締役(48)が新型車両に込めた思いを語った。(新藤正春)

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 山陰のシンボルとして、やくもはどうあるべきかを考えた。昨今はステンレスにシールを貼るだけの車両も多いが、JR西の車両はきちんとした塗装をルールにしている。

 やくもは何色か、どのようなお客さまをターゲットにするべきか―の2点を大きなテーマにした。

 地域住民をはじめ幅広い関係者からの声を聞く予定だったが、コロナ禍でかなわなかった。JR西の社員の皆さんを利用者に見立てて意見を集約し、12色ほどの候補から赤、オレンジ、茶色の3色に絞り込んだ。

 私にとって山陰、中国山地の風景で印象的なのは、集落に石州瓦の家並みが連なる様子だ。鉄道が走ることで、故郷の風景はこんなにも美しいんだなと感じてほしい。その風景に映える色として、ブロンズカラーを選んだ。夕日の色や大山夏山開きのたいまつ行列、たたら製鉄の炎にも通じ、沿線が一つになれる色だ。

デザインを監修した「イチバンセン」の川西康之代表取締役=出雲市駅北町、JR出雲市駅


 JR西日本山陰支社の佐伯祥一支社長と、やくもの利用者を増やすには何が必要か議論し、結果として子育て世代ではないかとの結論に至った。

 やくもはビジネス客の利用が多い一方で、...