落選が確実となり、支持者に頭を下げる錦織功政氏(右)=28日午後8時17分、松江市千鳥町、ホテル一畑
落選が確実となり、支持者に頭を下げる錦織功政氏(右)=28日午後8時17分、松江市千鳥町、ホテル一畑

 自民党新人の錦織功政氏は「保守王国」での議席死守に向けて党本部の全面的な支援を受けたものの、自民派閥の政治資金パーティー裏金事件の逆風を跳ね返せなかった。最後まで党本部と地元との歯車がかみ合わず、自民は1996年の小選挙区制度導入以降、島根で初めて議席を失った。

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 開票開始直後の午後8時過ぎ、落選が確実になると、松江市内のホテルの報告会場に集まった約200人の支持者からは落胆の声が漏れた。姿を見せた錦織氏は「私の非力によって当選できなかったことをおわび申し上げる」と頭を下げた。

 苦しい戦いだった。島根県連の公募を経て候補に選ばれ、党公認を得たのは今年1月下旬。知名度不足に加え、裏金事件の逆風を受け続けた。告示前から党の情勢調査などでリードを許す展開に危機感を強めた党本部は職員が松江市内の事務所に常駐し、東京の選挙プランナーも陣営入り。小渕優子選挙対策委員長が選挙区に張り付き、国会議員も企業や業界団体を回って支持固めに躍起になった。

 ただ、党本部主導の選挙戦に副作用も起きた。大物弁士の街頭演説などで支持者の「動員疲れ」が起き、地方議員からは「まとめ役がいない」との声が漏れた。陣営は終盤戦で支持者の多い松江市周辺部や中山間地域を中心に電話作戦を強化。選挙戦最終日の27日は岸田文雄首相が急きょ応援に入り、「保守王国で大逆転を」と結束を呼びかけたが、最後まで劣勢を挽回できなかった。連立政権を組む公明党も推薦が告示前日にずれ込み、支持者の動きは鈍かった。

 今後の政治活動について錦織氏は「古里への思いは変わらない。島根県連と相談し、今後のことを決めていきたい」と述べるにとどめた。

(佐々木一全)

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