能登半島地震発生から、あすで4カ月。大型連休を利用して全国から大勢のボランティアが被災地に入っている。2000年の鳥取県西部地震でもそうだったが、被災地では「見ず知らずの人に迷惑をかけられない」と支援を遠慮する高齢者も多い。世の中は持ちつ持たれつ。困った時は素直に助けを求めてほしい▼こうした災害ボランティアの活況とは対照的に、市民活動を支えるボランティア団体は縮小傾向にある。その一つが、山陰両県の遺跡啓発に取り組む市民グループが集まり23年前に結成した「山陰遺跡ネットワーク会議」。ピーク時に13あった加盟団体は6に減ってしまったという▼要因は会員の高齢化による解散や、市町村合併に伴う活動低下などさまざま。企業で70歳までの就業機会確保が義務付けられ、ボランティア活動まで手が回らない人が増えているらしい。こんなところにも人手不足の波が。何とも世知辛い▼活動の活性化に向けて同会議は、団体間の交流を深めるとともに、先進地から講師を招いて勉強会を開催。構成団体の一つ、むきばんだ応援団(米子市)の前田昇事務局長(66)は「単なる手伝いではなく、自分たちが文化財を守り生かすのだという意識改革の必要性を学んだ」という▼ボランティアから地域をつくるコーディネーターへ。そんな高い意識を持った人たちが増えれば、地域はより豊かで魅力的になるはずだ。(健)