明誠高校(益田市三宅町)卒業生の渡辺聖梨さん(23)=東京都杉並区=が、同校に日本画の作品を寄贈した。自分の気持ちをうまく伝えられない人が前向きになれるようにとの思いを込めた。渡辺さんは「駄目なときがあっても挑戦し続ければ必ず何かを得られる。何事も自分を信じてやり遂げてほしい」と後輩にエールを送る。
明誠高校には美術部がなく、渡辺さんはイラスト部と演劇部を掛け持ちしながら、市内の画家から指導を受けて描き続けた。2019年3月に卒業し、成安造形大(大津市)で日本画を専攻。現在は美術教員として東京都内の公立中学校で勤める。
作品「詰まル温度」は大学3年の21年に制作し、縦1・5メートル、横1・1メートル。言いたいけど言えない気持ちをフヨウのつぼみに重ねて表現し、24年3月の益田市美術展で市長賞や市議会議長賞などに次ぐ文化協会長賞を受賞した。
作品は、関西地方の美術系大学の代表が1人ずつ出展する展示会の代表作品にも選ばれ、京都市内で展示されているところを同校の永島一忠理事長が見つけ、話を持ちかけた。快諾した渡辺さんは「絵を見て、考える時間を持ってもらえたらうれしい」と語る。
27日にあった贈呈式で、岩本康幸校長は「卒業生からの寄贈が何よりうれしく誇らしい。学校の宝物として守り続けたい」と感謝。生徒会長の3年松本結翔さん(17)は「絵を見ると、卒業後も活躍する先輩のように自分たちも頑張ろうと思った」と話した。作品は相談室に飾られる。
(藤本ちあき)