鳥取砂丘と大山はどっちがすごいのか。鳥取市出身の筆者は以前、米子市民に「大山がすごい。砂丘はつまらん」と断言され、悔しかった。砂丘には、アントニオ猪木さんのような派手さはなくとも、ジャイアント馬場さんのような圧倒的な存在感がある。内心そう叫んだ▼全国的な知名度の砂丘、地元人気の大山だと考えている。知名度の比較は論をまたない。鳥取県のイメージ調査2020年度版で「鳥取県と言われて連想するもの」の1位は79・7%が挙げた砂丘。砂漠2・9%、二十世紀梨2・8%、カニ1・4%と続き、大山は1・1%で5位。平井伸治知事の名言「スタバはないけどスナバはある」は砂丘ネタだから全国的に受けた。大山ネタなら山陰両県民にしか響かなかっただろう▼地元人気の一つの指標は校歌への登場頻度だ。大山は、鳥取県西部はもちろん、島根県東部の小中学校でもよく出現。米子東高校でも松江北高校でも歌われる。砂丘は、最寄りの浜坂小学校のほか、鳥取東中学校、鳥取城北高校など鳥取市内で散見される程度▼鳥取県民歌でも大山は1番の冒頭で、♪大山はさやかに晴れて|といきなり登場。砂丘は3番にそっと出る。「大山賛歌」はあるが「砂丘賛歌」はない▼遠くからでも見える大山と、そこに行かないと見えない砂丘の違いか。全国的に知られるのに、地元で親しまれない妙な名所。そこが面白い。(志)