ゴールデンウイークが明けた7日の国会。衆院島根1区の補欠選挙で勝利し、初登院した立憲民主党の亀井亜紀子氏は本会議で紹介を受け、多くの同僚議員の拍手に笑顔で応えた▼同じ日、補選で敗れた自民党新人の錦織功政氏の姿は党本部にあった。党総裁の岸田文雄首相や茂木敏充党幹事長らと相次いで面会し、支援への感謝を伝える一方、報道陣の前では硬い表情のまま足早に去った▼与野党一騎打ちの構図で明暗が分かれた補選を経て、国会では政治資金規正法改正案の議論が本格化する。具体的な改正案の中身がほとんど語られなかった補選で、有権者は「政治とカネ」問題に向き合う自民の姿勢も判断材料にしたはず。公明党との改正案の協議を通じ、いまだに改革に消極的な自民の姿が垣間見えるのは残念だ▼補選で中身をあまり訴えなかった立民の改革案が評価を受けたとも言い難い。自民実務担当者が12日のNHK番組でそう指摘したのはおかしいが、政治資金問題に詳しい日本大の岩井奉信名誉教授が取材時に語った「議論が政局的」との指摘も合点がいく。次期衆院選で政権交代を目指すなら実効性を伴った改革案を示すべきだ▼会期末が6月23日に迫る中、国会での改正案を巡る議論は時間がかかりそうだ。第三者機関設置など論点は多岐にわたる。全てを今国会でまとめることにこだわり過ぎず、政局抜きで腰を据えた議論を望む。(吏)