国旗を広げて記念撮影に納まる様子は、まるで国会議員の海外視察のようだ。いや、当事者たちにとっては〝国内視察〟のつもりなのだろうが▼韓国の革新系野党「祖国革新党」代表の曹国(チョグク)元法相らが島根県隠岐の島町の竹島(韓国名・独島(トクト))に上陸した。曹氏は声明で「独島は韓国の領土だ」と主張。対日関係を重視する尹錫悦(ユンソンニョル)政権は「歴代最悪の親日政権だ」と批判した▼その2週間ほど前には、韓国の最大野党「共に民主党」の国会議員が上陸したばかり。先月の総選挙で圧勝した野党は尹政権への批判攻勢を強めており、親日姿勢が揺らがないか気掛かりだ▼通信アプリLINE(ライン)の個人情報流出問題で、日本の総務省が運営元のLINEヤフーに韓国IT大手ネイバーとの資本関係見直しを求めたことを受け、曹氏は「日本が韓国企業の経営権を奪おうとしている」と主張。対応が不十分な尹政権に抗議する意図で竹島を訪れたと説明した。韓国の政争の具として竹島を使われては迷惑だ。日本政府にはもっと毅然(きぜん)とした対応をしてほしい▼国会議員の海外視察といえば日本で昨夏、自民党女性局の研修でフランスを訪れた議員が、パリの観光名所エッフェル塔の前で塔のポーズを取った写真を交流サイト(SNS)に投稿。「観光旅行のようだ」と批判を浴びた。竹島上陸は到底容認できないが、韓国側の写真の方が議員としての自覚が見える。(健)