「高校生のための文化講演会」が30日、松江市西川津町の松江東高校であり、国学院大の平藤喜久子教授(神話学)が「神話を旅する」と題し、生徒465人に学問や神話の世界の奥深さを伝えた。
講演会は高校生が著名人の話に触れ、将来を考えてもらおうと公益財団法人一ツ橋文芸教育振興会、山陰中央新報社が主催した。
平藤さんは高校時代、音楽大学を目指していたが神話にまつわる本に出会ったのをきっかけに進路を変え、神話学を志すようになった。
黄泉比良坂(よもつひらさか)が舞台のイザナキ・イザナミ神話とギリシャ神話のオルフェウスの神話は、どちらも妻をあの世から連れ戻そうとするが夫婦は永遠の離別を迎えるといった共通点があると説明した。
平藤さんは「神話を手がかりに日本について学べる」とし、人間の無意識が神話に影響を与えている説などを紹介した。
質疑応答では高校生からエジプト神話との関係性や神話のモチーフなど鋭い質問が出され、平藤さんをうならせた。3年の石坂実子(みつこ)さん(17)は「もともと神話が好きだったが、もっと勉強してみたくなった」と話した。
29日には立正大淞南高校でも講演があり、両校にはそれぞれ同会から平藤さんの著書と集英社の文庫本100冊が贈られた。(林李奈)