笈神社で見つかった棟札を紹介する高橋周専門研究員=出雲市大津町、出雲弥生の森博物館
笈神社で見つかった棟札を紹介する高橋周専門研究員=出雲市大津町、出雲弥生の森博物館

 出雲市大津町、出雲弥生の森博物館で、陶磁器や古文書から戦国時代の出雲平野を読み解く企画展が開かれている。来館者は新しく見つかった棟札や書状などの資料約80点に見入っていた。9月2日まで。無料。

 戦国時代の出雲西部地域では塩冶氏や尼子氏、毛利氏を中心に中小の領主や寺社が勢力争いを繰り広げたといわれている。

 企画展では戦国時代の出雲守護代・尼子経久の三男で、出雲西部に権益を持った塩冶興久(1497~1534年)が経久に対して反乱を起こした享禄3(1530)年の棟札を展示する。一族や家臣約20人の名が記され、笈(おい)神社(乙立町)の遷宮の際に納められた。反乱に賛同する人物が名を連ねたとみている。

 棟札は市文化財課が市内全域で実施した調査で発見した。このほか、一畑寺(小境町)と毛利氏との関係を推測できる吉川元春の書状の写しが見つかった。

 出雲市斐川町今在家の会社員、古川和伸さん(44)は「新しい発見が次の研究につながることを期待したい」と話した。企画展を担当した高橋周専門研究員は「寺社との関係など戦い以外の戦国時代を見てほしい」と来場を呼びかけた。

(片山皓平)