倒壊したまま残る石川県珠洲市宝立町地区の家屋=6月28日(ドローンから)
倒壊したまま残る石川県珠洲市宝立町地区の家屋=6月28日(ドローンから)

 2024年も半分が終わり、折り返しを過ぎた。まさに「光陰矢のごとし」。年齢を重ねるごとに1カ月、1年がどんどん早く過ぎていく。

 この現象を説明した「ジャネーの法則」というのがある。「主観的に記憶される年月の長さは、年少者にはより長く、年長者にはより短く感じられる」というもの。5歳児にとって1年は生きてきた年数の5分の1だが、50歳にとって1年は50分の1。年を取るにつれて1年の比率が小さくなるため、早く感じるらしい。

 年齢だけでなく、過ごし方も体感時間の早さに関係しそうだ。世の中が目まぐるしく日々、さまざまな出来事が起こる。10年前が、それほど遠い過去に感じない。

 そんな感覚になっていく中で、ふと思う。自分が生まれた時期が、終戦から20年余りしかたっていなかったということ。普段の生活で戦争の影響は感じられず、遠い過去のことのように思っていた。しかし、わずか20年だった。そう考えると、日本の戦後復興の苦労が一層重く感じられる。

 能登半島地震発生から半年が過ぎた。被災地の人たちは時の流れをどう受け止めているのか。インフラの復旧は徐々に進むが、時が止まったかのように倒壊したままの家屋が残る。自治体が実施する「公費解体」の完了数は4%にとどまり、断水が続く地域もある。5年、10年先を見据えながら復興のスピードが上がることを願わずにはいられない。(彦)