高知市立自由民権記念館に掲示された「板垣死すとも自由は死せず」のパネル
高知市立自由民権記念館に掲示された「板垣死すとも自由は死せず」のパネル

 1882(明治15)年4月、岐阜での演説を終えた直後、刺客に襲われ負傷した自由党総理の板垣退助はこう叫んだという。<板垣死すとも自由は死せず>▼140年以上たった今でも、自由民権運動の象徴として語り継がれる名言。ただ、現場に居合わせた人の供述によると「吾死スルトモ自由ハ死セン」「自由ハ永世不滅ナルベキゾ」などと表現が異なるようだ。それでも日頃から死を覚悟して人民の権利や自由を守るという強い信念を持っていたからこそ、そんな言葉が口を突いたはず。果たして今の政治家にそれだけの強い覚悟があるだろうか▼<板垣死すとも価値は死せず>。ふと、そんな造語が頭に浮かんだ。板垣が肖像画だった百円札の発行が停止されたのが1974年8月。間もなく半世紀の節目を迎える。実際に手にした経験があるのは50代以上だろう▼珍しいからといって、コレクターに高く買い取ってもらえるのは、初期に発行され保存状態のいい紙幣などごく一部。それ以外は現在の価値と変わらない▼20年ぶりに全面刷新した1万円、5千円、千円の紙幣(日本銀行券)がきょう発行される。「紙幣の顔」も交代。最新の偽造防止技術も取り入れている。一方で「従来の紙幣は使えなくなる」とうそをつき、新紙幣との交換名目でだまし取る詐欺が発生する恐れもあるという。旧札も新札も価値に変わりはない。くれぐれもご注意を。(健)