「アマタツ」の愛称で有名な気象防災キャスターの天達武史さん(50)=神奈川県出身=は、気象予報士になる前の9年間、ファミリーレストランで働いていたそうだ。
目の前が海で、天気次第で客足が大きく変化することに着目。過不足なく食材を発注する目的で気象予報士を目指し、7回目の試験で合格したという。人生、何が幸いするか分からない。もっとも「天」気の「達」人の頭文字を名字に持つのだから、必然なのかもしれない。
“天気の達人”の講演を先月、松江市内で聴いた。地球温暖化により「島根は亜熱帯気候になっている」と指摘。土砂崩れの前は生臭いにおいがしたり、木の根がちぎれるギシギシとした音が聞こえたりするとし「気象災害には前兆がある。五感で情報を得ることができれば助かる」と続けた。なるほど、いち早く前兆を把握できれば対処はしやすい。
それに比べ、地震や津波は前兆を感じ取れない。「避難する際は持病の薬や入れ歯など、人から借りられない物は必ず準備しておく必要がある」と紹介。靴や自分の存在を外部に知らせるホイッスルを必需品に挙げ、「僕は常に身に着けている」と停電時に使う小型ライトも披露した。
阪神大震災から今年で30年。今月6日には鳥取県西部地震から25年を迎えた。地震はいつ、どこで起こるか分からない。天気だけではない防災の達人に身近な備えの大切さを教わった。(健)