スマートフォンに表示されたマッチングアプリの画面
スマートフォンに表示されたマッチングアプリの画面

 高校生だった30年以上前、恋愛はアナログだった。彼女と話す方法は、直接会うか自宅に電話するしかなかった。電話をかける時間を決めていたが、親が出ることもあり、毎回ドキドキしながらダイヤルを回した。待ち合わせも来てくれるか不安だった。携帯電話や交流サイト(SNS)が当たり前の今の若い人には想像もつかないだろう。

 結婚を望む人が減っている。島根県内の独身者を対象に県が実施した2023年度の調査で、結婚志向がある人は48・3%となり、21年度の前回に比べて4・5ポイント減った。未婚の理由は「相手がいない」、婚活は「面倒くさい」。特に20、30代の男性が消極的な傾向にある。

 結婚の入り口の一つである恋愛もデジタル化が進む。出会いはマッチングアプリ、やりとりはSNS、人工知能(AI)に相談し、恋に落ちる人もいる。

 アナログで「愛さえあれば」の時代に青春を過ごした身には、ぴんとこない。価値観の溝は埋まりそうにないが、時代は変わる。行政は生の声を聞き、支援策を講じる必要がある。

 ただ、思うのは「リアル」が一番。あくまで個人の見解だが、やりとりの手段が増え、あふれる情報を取捨選択しなければならない時代を生きる若い人は大変で、かわいそうだとも思う。昔は不便で失敗もしたが、自由があった。コロナ禍もあり、実体験しにくい現代社会。失敗は決して悪いものではないと伝えたい。(添)