「大漁苦児羅」を紹介する五味朋子学芸員=出雲市浜町、出雲文化伝承館
「大漁苦児羅」を紹介する五味朋子学芸員=出雲市浜町、出雲文化伝承館

 出雲市浜町、出雲文化伝承館でペットから猛獣まで動物たちが描かれた浮世絵約100点の企画展が開かれている。来館者は葛飾北斎や歌川広重といった人気の浮世絵師の作品を楽しんでいる。9月1日まで。

 江戸時代の3大ペットの猫、犬、金魚をめでる遊女のほか、象、浅草で公演されたサーカスの様子など全ての絵に動物が登場する。

 広重の「名所江戸百景」には家屋の2階から見える富士山と猫、空には広重ブルーと呼ばれる爽やかな青がグラデーションで描かれ、立体的な風景に仕上がっている。

 歌川政信の「大漁苦児羅(くじら)」は鯨に見立てた中国に対しフランス国旗の船が銃を撃っている。日本国旗の船はフランスに「手を貸せば亀をやる」と言われるが乗り気ではない。ベトナム領有を巡る清仏戦争の風刺画とみられる。

 五味朋子学芸員は「人々の生活や世相が表れている浮世絵を楽しんでほしい」と呼びかけた。

 28日午後1時半から、島根県立美術館の大森拓土専門学芸員による講演会もある。

 開館時間は午前9時から午後5時まで。入館は同4時半まで。8月12日を除く月曜休館。観覧料一般700円、高校生以下無料。(佐藤一司)