元東大野球部監督で土佐中学・高校(高知市)校長の浜田一志氏(59)が出雲高校生約900人を前に「文武両道のすすめ」と題して講演し、東大生の特徴や部活に入る意義を説いた。講演詳報(下)では、なぜ勉強や部活をしないといけないのか、根源的な問いに対して浜田氏が持論を展開した。
 

【講演詳報(上)】東大生に共通する三つの才能とは 文武両道は「多様性の中で努力を続けること」
 

なぜ勉強する
 次になぜ勉強するのか。勉強したいという欲求は人間の本能だ。いい写真が撮れたら、周りに伝えたいと思う。いいねが欲しいと思う。自分がいいなと思ったことを人に伝え、幸せになりたい。その基礎が勉強だ。

 

講演する浜田一志氏

 周囲を観察すること、自分から発見したりすることも大事だし、人に伝えるには、相手の立場を考える道徳や語学力(日本語で要点を15秒以内に伝える力)も欠かせない。さらに計算力や法律の知識も幸せになるために必要になる。子どもの時に「ねえねえ、これできたよ」と人に伝えていたはずだ。  ではなぜ大人ではなく、子どもは勉強しないといけないのか。実は子どもは勉強する旬の時期だ。この時期に暗記力が最も高まる。論理的文章を理解する力は30歳くらいがピークだが、意味のない言葉を丸暗記する力は子どもの頃が一番だ。この時期に語彙(...

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