「日本一の選手ってどんな選手だと思う…」「きっとチームを日本一に導く選手だと思うんだよな」。バスケットボール漫画『スラムダンク』の名言の一つだ。
1990年代の連載時は個人と団体の成績は別物と思ったが、振り返ると正しい。世界にも置き換えられる。マラドーナ、ジダン、メッシ…。サッカーファンでなくても記憶する一流選手はワールドカップで自国を世界一に導いた。
米大リーグの大谷翔平選手は今季打撃2冠に加え、史上初の「50本塁打・50盗塁」を達成し超一流を証明した。本来は2桁勝利を望める投手でもある。類例は、米プロバスケNBAの「バスケの神様」マイケル・ジョーダンしか浮かばない。得点王を10度獲得しつつ、ディフェンスはスチール王3回、最優秀守備選手賞1回と、称号通り万能だった。大谷選手はバスケと違い、攻防が分離し専門化する野球の特性からも、個人の偉業は神様を超えてしまったようだ。
ジョーダン率いるブルズは弱小から成長し、NBAを6回制した。91年の初優勝時、トロフィーを抱き号泣するジョーダンの写真は鮮烈だ。「こんなにも勝ちたかったんだ。この人は」。多くの人が尊敬しバスケの象徴になった。
大リーグはプレーオフが始まり、大谷選手のドジャースも頂点を目指す。世界一になれる好機は多くない。好選手か偉大な選手かの分かれ目で、スターに問われる宿命である。(板)