災害時に助け合うには「地域のつながり」が大事-。先日掲載した記事の核心部分だが、当たり前と言えば当たり前。発生から24年を迎えた鳥取県西部地震の被災地・日野町で取材した住民フォーラムの原稿を書きながら「真意がこれで伝わるのだろうか」と悩んだ▼日野ボランティア・ネットワーク(山下弘彦代表)などが開いたフォーラムには県内外の約40人が参加。「能登半島地震から考える」と題し、石川県輪島市で活動を重ねる山下代表らの報告から「支援と受援」の在り方を考えた▼十数人ずつ輪になった分科会では身の周りの課題も語り合った。少子高齢化が進み、近所付き合いも減る地域でもうやめようという声が出る運動会は「やっぱり大事」。皆でうなずいた▼2007年にも地震を経験した輪島市の災害ボランティアの会が被災体験を生かそうと、着物などから手作りし全国の被災地訪問などで届ける「和みバッグ」も話題に。先月水害にも見舞われた輪島の支援に当たっていた鳥取県社会福祉協議会の職員は、被災者からもらったバッグを披露した。どんな状況でも相手を思いやる、支え合いの神髄だ▼バッグは18年の島根県西部地震後、大田市にも届けられた。「とてもうれしかった。そのお返しに」。バッグ作りの輪はその後、大田から20年の記録的豪雨で被災した熊本県八代市へと広がった。「つながり」の形はいろいろある。(吉)