衆院選公示を控え、日本記者クラブ主催の討論会で手をつなぐ与野党7党首=12日午後、東京・内幸町の日本記者クラブ
衆院選公示を控え、日本記者クラブ主催の討論会で手をつなぐ与野党7党首=12日午後、東京・内幸町の日本記者クラブ

 一般論としてサプライズは、目の前のものが一瞬消えてしまうような錯覚をもたらす。岸田文雄前首相の自民党総裁選不出馬に、それを受け誕生した石破茂首相による国会選出から8日後の衆院解散もその類いかと、その都度眉につばを塗った。

 先の党総裁選で首相は「可能な限り早く信を問いたい」としつつ、具体的な時期は「予算委員会で政権が何を考え、目指しているのかを示した段階」としていた。早期解散を打ち出した有力候補との「違い」だった。

 実際は意表を突く早期解散。数々指摘される就任後の変節の一つだが、個人的にこの点は、それほど抵抗感はなかった。もちろん地元の鳥取県出身初の宰相だから寛容に、というわけではない。派閥の「裏金問題」に絡んで、信を問うのに筋が通るのは即解散だと考えていたからだ。新顔9人が政治改革を掲げた総裁選も「選挙の顔」を決める色合いが濃く、それを踏まえて目を凝らした。

 準備期間のない「短期決戦」となった衆院選は、与野党の過半数を巡る攻防に。サプライズの効果は限定的だったか。

 政治改革関連4法の成立から30年。苦しい生活、衰退する地域…。論点はたくさんあるはずなのに「また政治改革」と思えば、ため息も出る。それでも、政治家のみならず18歳以上は平等に国や地域、自分たちの暮らしをつくる権利を持つ。一票を生かそう。意思を示そう。きょうは投票日。(吉)