短歌 宮里 勝子選

待合に黙して待つ間隣人の本のタイトル気になりており      出 雲 下(山ヘンに立可) 文枝

  【評】医院のロビーか、熱心に本を読んでいる人が気になるも声をかけるのもためら われる。読んでいる書名によっては人柄が想像できるし、共通の話題があるかもしれな い。些細な心の動きが感じられる。

傘さして茅の輪をくぐる大祓梅雨前線停滞つづく         出 雲 小林  香

  【評】夏越(なごし)の祓(はらえ)今年は6月30日。茅(ち)の輪をくぐることで厄が落ち身が清められるとい われている。神話...