文部科学省が実施した2023年度の問題行動・不登校調査で、山陰両県の国公私立小中高校の不登校者数が過去最多となった。島根が2590人(前年度比386人増)、鳥取が1935人(265人増)。新型コロナウイルス禍に伴う登校意欲の低下や、配慮が必要な子どもの個別支援に課題があったことなどが要因とみられる。

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 島根の小中学生の不登校は8年連続で増加した。内訳は小学校974人(186人増)、中学校1309人(186人増)、高校307人(14人増)。

 3月に県教委が実施した不登校の理由を聞くアンケート調査などでは、不登校のきっかけに関する認識で児童生徒と教員側の差が浮き彫りになった。

 人間関係で悩んでいる子どもが多いのに、教員は学業への気力の低下と捉えていることなどが一例で、県教委子ども安全支援室の高倉信明室長は、個々の教員ではなく、チームによるアプローチで「個別支援につながるよう、教職員の意識を変えていきたい」と話した。

 鳥取は小中学校で増えた一方、高校で減少。学校内で寄り添う学校生活適応支援員の配置などサポートの拡充を検討する。

 いじめは、島根が過去最多の3527件(375件増)、鳥取は20、21年度の減少から増加に転じ、2232件(381件増)。SNS上の中傷も積極的に認知するなどしたため、件数は増えた。生命・身体に被害が生じた疑いがあるといった「重大事態」は島根7件(6件減)、鳥取18件(15件増)だった。

 暴力行為は島根621件(291件減)、鳥取1072件(220件増)だった。

(曽田元気、桝井映志)