松平不昧(ふまい)の茶会記で多く招かれた人物は、やはり興味を引く人物だ。このうち若い頃の吉村観(かん)阿(あ)(1765~1848年)もいた。観阿とは江戸時代後期、江戸で目利きとして著名な町人数奇者である。昔の言葉に、その人をみようと思えば、友を見よという言葉がある。

 実際、不昧は観阿に「曲直」という茶杓(ちゃしゃく...