端午の節句や入学祝いの飾り物として知られる「出雲五色天神」の製作が最盛期を迎えた。伝統を受け継ぐ「斐川でこや連」(青木誠会長)が出雲市斐川町出西の工房で、子どもの健やかな成長を祈りながら一体ずつ、丁寧に色を塗っている。
出雲五色天神は江戸時代から出雲地方に伝わる土人形。五色は儒教の五常の礼節「仁、義、礼、智、信」を表し、黒、青、白、赤、緑の各色で彩色する。近くの出西窯で素焼きした高さ7・5センチ、幅6センチ、厚さ3センチの人形をメンバーがポスターカラーで着色している。
5色1セットで、来春までに50セットを作る。1セット税込み7700円で、2025年1月から出西窯や出雲民芸館、ギャラリー高瀬川で販売する。
出雲五色天神は後継者不在で一時途絶えた。島根県退職公務員連盟斐川部が2019年に復活し、工房ができてから「斐川でこや連」と名乗り、現在19人で活動している。
青木会長(86)は「地域の伝統文化を守るため、活動を続けていきたい」と話した。(佐藤一司)