講演する国民民主党の玉木雄一郎代表=18日、東京都港区
講演する国民民主党の玉木雄一郎代表=18日、東京都港区

 私たちはケチなんだという。「金銭」にではない。「情報を得るための時間」にだ。人は、なるべく手間暇をかけないで物事を認知し、処理したいと思うのだそう。

 口伝えしかなかった伝達手段から新聞やテレビが登場し、そのニーズを満たしてきた。さらに容易に満たすのがネット。中でも速効性の拡散力を持つ交流サイト(SNS)の存在は大きい。10月の衆院選で、その特性を生かし躍進したのが国民民主党だ。

 役職停止中の玉木雄一郎代表が先日、都内であった講演で手法の一つを明かした。「手取りを増やす」「教育無償化」「不正を許さない(政治とカネ問題)」など政策を伝える短い動画を10個ほど作って配信。SNSでのヒット数の多さと演説会場でのリアルな感触を踏まえ、訴える内容や話す順番を組み替えたことが「(有権者に)比較的届いた」という。

 動画には、単純で明快なメッセージを出すことが必須で「ネットの特性上、テレビ的に作るとうまくいかない」のだそう。「ケチ」な有権者の特性を踏まえたということだ。

 それにしても、こうしたコンテンツを使ったマーケティングの有用性は理解しつつ少し落ち着かない。多勢に無勢、人気投票となって小さな声、大事な意見が淘汰(とうた)されていくのではないか。いや、それは受け身の甘えた考えだろう。今昔、求められるのは正しい情報。現場に出て、取材し、ケチらずに発信するのみだ。(衣)