米子市が市民から寄贈を受けたガラス乾板の中に米子城の天守を写した写真の複写や、明治から戦前にかけての町並みを写した貴重な写真が多数見つかった。市は所蔵する山陰歴史館(米子市中町)で26日から「再発見資料~ガラス乾板に記録された戦前の米子~」と題した展示会を開き、米子城天守の往時の姿を広く市民に伝える。
米子市日野町で写真館を営んでいた故干村広三郎さんの孫が、2023年11月、ガラス乾板など計475点を寄贈した。市が調査したところ、干村さんは市史編さんに携わり、戦前に多くの写真の複写をしていたとみられ、1942年刊行の「米子市史」に掲載された写真も見つかった。
寄贈品のうち、米子城天守を南側から撮影した明治初期の写真の複写には、これまで確認されていなかった台紙の余白部分が写っており、貴重な資料と考えられる。また、天守を北側から写した写真の複写では「12924」との文字が残り、明治12年9月24日の撮影日を示す可能性が高く、今後の米子城を研究する際の資料として大きな価値があると見られる。
このほか、明治-大正期にかけて米子城本丸から城下町を眺めたパノラマ写真や、1929年の建築当時の旧日野橋など、当時の様子を伝える写真もある。
山陰歴史館の佐伯純也調整官は「米子城天守や戦前の町並みを切り抜いた貴重なガラス乾板が並ぶ。米子の歴史に思いをはせてもらいたい」と話した。
展示会ではガラス乾板の現物を中心に約70点を展示する。3月30日まで。一般300円、70歳以上と大学生以下は無料。火曜日と2月12日は休館。(中島諒)