2011年3月11日、多重的な炉心溶融(メルトダウン)へと時計の針が進む東京電力福島第1原発は最初の夜を迎えた。「冷却機能は喪失しているが、電源さえ戻れば原発は落ち着くはず」。午後7時3分に史上初の原子力緊急事態宣言を出した首相の菅直人も、補佐役の福山も事務方からこう説明を受け、電源車の手配に血眼となった。

 ▽「恐ろしい時間」

 「宣言発令の直後、全閣僚出席の原子力災害対策本部と緊急災害対策本部が開かれ『10時間でメルトダウンを起こすという極めて心配な状況』との説明があっ...